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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

そのうちにビニール袋を提げた和波さんと柊が戻ってくる。

「売り切れ寸前であんまり種類もなくて」とサイドテーブルに並べてくれる。
温かいピザとハッシュドポテト。

「いやいや、でもすげぇよ」

「いただきますっ」

花野ちゃんの手にも、俺と同じピザ。

4人で乾杯して食べ始めると、空腹だったことに今更気づく。
柊と競い合うように手を伸ばす。

美味い!
インスタントだって関係ねぇっ!

料理ってホント、誰と食べるかだよな。
彼女が生きていて、笑っていて、最高の晩餐だと思った。

だから、それが叶えられない花野ちゃんと柊を思うと、胸が軋んだ。
それでも笑っている2人。

伊織、そして、彩華さん……。
みんなで食卓を囲む時が来るのだろうか?

生きているのか死んでいるのか、どう表現すればいいのかわからない2人と……。

それに俺は、伊織の復活を心から望んでいるのだろうか?

ごめん、伊織。
こんな酷い兄で、ごめんな。

兄妹にごちそうさま&おやすみを告げ、俺たちは電話で予約が取れたビジホに入った。
もっちーのことは和波さんが対応してくれただろう。

ひとまず今日は大団円。

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