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僕ら× 1st.

第23章 タリオ --Shu,Khs,Ar

その後、「あの…言ってもいいですか?」と遠慮がちに森ちゃんが話し出す。

「私と花野ちゃんと双葉ちゃん、前の晩に…襲われかけたんです」

「何だと?」

ガタンっとアルは立ち上がって机に身を乗り出す。

「いや、大丈夫だったんだよな?」

俺たちは笑顔の花野ちゃんに会っているんだから。

「はい。私たちを捕まえた人たちが逃がしてくれました」

「どういうこと?」

アルの腕を引くと、ヤツは大人しく座った。

「3人で買い物してたら、アイサが声をかけてきて。サユミとはぐれたから一緒に探してほしいって言われて。

先生に知られたら怒られるからって。で、いなくなった辺りを探してたら、知らない男が5人やって来て。
双葉ちゃんが柔道強いっていっても、男5人に勝てるわけなくて。

で、路地裏からどこかの家に入れられたんですけど、それまで強引だった5人が、急に優しくなって。"怖がらせてごめんね"って逆に謝られて。裏口から出て、表通りまで誘導してくれました。

そして、次の日にアイサとサユミが謝ってきて、ついでに花野ちゃんのブレスレットを預かって、道を教えて…くれたと言うか、はめられたんです」

「その5人って何がしたかったの?」

マコちゃんが尋ねると、森ちゃんが言う。

「よくわからないんだけど、その人たちが、"ネーゼに注意しろ"って言ってた」

また出たか。
そこで雇われたチンピラどもか?

いや、ネーゼ側に潜んでいた小柴か伊織の手の者だ。
きっと……絶対!

「でも、何で助けてくれたんだ?」

晄志が、マコちゃんの疑問を再度投げ掛ける。

「さあ。美少女すぎて遠慮したんじゃない?」

…そりゃ、3人とも可愛いけど……。
柔道少女と、ドラム缶体型の森ちゃんを連れ込むとは、屈強な輩がいたんだな。

苦笑の晄志が、「美少女でよかったね」と目を閉じた。

Tブレーンがアルのグルーピーを張っている。
花野ちゃんを守るために。

それは伊織が生きている証拠、だよな?

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