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僕ら× 1st.

第23章 タリオ --Shu,Khs,Ar

俺が質問をまとめないうちに、小柴は口を開いてきた。

「あそこの家令…白峯和泉は、恩人なんだ。俺の家族を救ってくれた」

「家族?」

小柴に家族なんていたか?

「俺の出身施設の弟妹たちの居場所を作ってくれたんだ」

何か事業をしている、ということか…。
それにしても、小柴がそんな恩を感じる輩だったなんて。
…言い訳じゃねぇか?

「話せば長くなるからここまでにするけど」と、再び小柴は俺の思考の矛先を変換する。

「ヤツら、同じ船に乗せてやれ。で、寄港の時期になったら、まとめて他の船に移送しろ。廃棄は乗り継ぎが途絶えたら、またはコントロール不能なら」

「何故?別々の方が孤独だろ?」

そんな俺に小柴は「3人一緒の方がエグいぜ?」と話し出す。

「初めは心強い同士かもしれないけどな。時間が経つにつれ1人配置よりも孤独になることだろう。…点数次第で食事ができる。指名されれば、それだけ高い点数が貰える。点を稼ぐためにサービスに磨きがかかる」

「ゲームにするんだよ」と、小柴は口で笑う。

そうだな、あいつらにとっても花野ちゃん強襲と遭難はゲームだったんだ。

「先輩後輩なんて言ってられなくなるぜ?お友だちみんなで競いあえば乗組員が長く楽しめるだろ?さすれば漁獲成果も上がる?折角なんだ、貢献してもらわなきゃ……て言うのは冗談で、各々に手配すんの大変だろ?お前の時間が勿体ない」

反対されると思っていたのに、助言までいただいた。

あえて友だち同士をライバル化し、憎み合わせて精神的にも追い込む…。
もともと雇用関係のような3人だしな。

そして復讐のみならず、利益をとるところ……。
ブレーンの成せる技だな。

でもわかってんなら自分たちで実行できるだろうに、あえて俺たちにさせるんだ…。
アルを立ててくれてんのかな?

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