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僕ら× 1st.

第23章 タリオ --Shu,Khs,Ar

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スキー研修から1ヶ月程経った今日は、卒業証書授与式。

在校生たちが、その先のグラウンドに集まる中、まだ足が治りきっていない宮石と俺はゲートをくぐっていく卒業生を見守る。

行列の向こうから柊兄がニコッと手を振る。
その後方に、ひょっこり顔を突き出すアル兄が見えた。

「おめでとうございます」

通る卒業生に声をかけられて頭を下げる彼女。
手を差しのべられると握手に応じる。

それを快く思わない男、吉坂侑生…。

つかつかと列を乱して、やって来る。

宮石に手を伸ばして掴んだと思ったら、いきなり担ぎ上げた。

「えっ?先パイ!下ろしてくださいっ!」

「吉坂!何してんだ?」

それに気づいた教師たちが走ってくる。

「晄志、またなっ!」

俺の肩をポンと叩いて、アル兄は駆け出す。

「依田!あのアホ、止めろ!」

と、望月の指示を受け、俺はアホ兄…いやアル兄を追いかけた。

前にも思ったけど、アル兄って細いのに力があるなぁ。
宮石を抱えてよくあそこまで早く走れるよ…。

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