テキストサイズ

僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

***

週末、自宅でピアノを弾き鳴らしていた妹を連れだした。
"水族館"この一語で妹は笑顔になる。

「あいついなくて、寂しいな」

「そうだね」

やや混みの電車内で、流れる外の景色を眺める妹に問いかける。

「ひとりで泣いてない?」

「泣いてないよ」

もし泣いたとしても、俺を心配させるようなこと言わないよな。
今日も妹は、小花のネックレスをつけている。

「俺の受験が終わったら、会いに行こうか?」

「どうして?」

俺の提案に、きょとんと驚いた様子。

「どうしてって、会いたいんだろ?」

「そりゃ会いたいけど、んー」

妹が小首をかしげて考えると、リィの花がコロッと動いた。

「んー?」

「会いに行かない!」

ニコッと妹は、言い放った。

「そう?」

「リルは集中してお勉強してるんだから、私が遊びで行ったらいけないよ」

「あいつ、喜ぶよ?」

「ううん。邪魔はできない。喜ばない」

妹が会いたかったなんて言いながら、あいつの胸に飛びこめば、涙流して喜ぶと思うけどなぁ…。

「私は無事に帰ってきてくれたら、それでいいから」

「まあ、そうだよな」

やっぱりこの2人、まだまだプラトニックなんだなぁと、焦れったいようなホッとしたような矛盾な気持ちになった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ