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僕ら× 1st.

第23章 タリオ --Shu,Khs,Ar

再びクルマに戻った俺を乗せて、宮石の家へ向かう。
また会えると知って、アル兄はご機嫌で鼻歌を始める。

宮石に事情を伝えようとメールを送信してみたが、俺の膝の上で彼女の鞄がブルッと震え、柊兄に笑われた。

「スマホ忘れてる人間に知らせてもな」

「……お前、花野ちゃんとメールしてんだ?」

後ろからアル兄が顔を出して俺のスマホを覗いてくる。

「グループで繋がっただけで、個人的には必要時しかしないよ」

「必要時って言っても幅広いよな…どんなやり取りしてたの?」

「っ、見せてやらない」

事務的な会話が主だけど、俺と宮石だけのメールを見られるのは嫌だ。

「何かやましいことでもあんのか?」

「ないよっ!あったら見せびらかすよっ!」

聞いていた柊兄が「ふっ」と笑う。

「ふうん、そうか。グループからか……」

アル兄なんだから、もうとっくの昔に何の気なしに宮石と連絡先を交換してると思っていたのに、未だらしい。

もちかけたらきっと断らないだろうとわかってはいるけれど、俺も伊織と同じクラスにならなきゃ宮石とメールなんてできなかった。

このアル兄にも、そんな歯がゆい緊張感があるんだなぁとこっそり笑っていたら、柊兄が囃しだす。

「お前と花野ちゃん、何のグループでもないもんな」

「同じ学校グループ……」

「可哀想っ」

確かに、可哀想…。
そんなこと言ったらここにいる全員、宮石と握手をしようとした連中もグループの内、だもんなぁ。

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