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僕ら× 1st.

第23章 タリオ --Shu,Khs,Ar

気を取り直して俺は本題に入った。

「あのさ……花野ちゃん。イオから貰ったもので身に付けるもの、この中に入ってる?」

「え?身に付ける?…う、うん」

和波さんから離れた彼女は、部屋の鞄へと進む。

「待ってくださいね?」

鞄からポーチを選び出した彼女は、俺たちに背を向ける。
ゴソゴソとしていた彼女が振り向いた時、その手のひらには小さなビロード風の袋があった。

「これ…」

差し出す彼女から受け取る。

「中、見てもいい?」

「はい……」

じゃらっと出てきたのは、あのネックレスだった。
手にしてすぐに判る。

そうか。
出会ったときから彼女が持っていたから、見落としてた。
途中で伊織が細工したんだな……器用なヤツめ。

「……最近、つけてなかったもんな。そっか……」

他の男からのアクセサリー、彼女につけてほしくはない。
だけど。

「この中には花野ちゃんを守るための金属が入ってる。そのパーツは俺が作ったものなんだ。

イオだけじゃなく俺からのものとして、身に付けてほしい。悔しいけど、花野ちゃんにすごく似合ってるから」

「……守る金属?」

「スピリチュアルストーンとかいう類いだよ」

目をパチクリする花野ちゃんに、和波さんがごまかしてくれる。

俺からネックレスを返された花野ちゃんは、その小花を見つめた。

「な?で、和波さんにしたように、俺に抱きついてくれればいい」

「ふぇ?」

俺の提案に彼女は暢気な声を出し、和波さんは「くっ」と笑った。

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