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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

何分か経過後に、吉坂がトーンを押さえて話しだした。

「俺、イオがいるなら花野ちゃんの兄貴に徹しようって思ってた。だけど今は、もう…諦めるなんて選択肢はねぇんだ」

それはわかるけど。
あんた、さっき私に"バカ"って言ったよね?
訂正とお詫びをしてから話してよね。

むくれた私は、返事を拒んだのに。
吉坂は、そんな空気を読める男ではなくて。

こだわってるこっちがバカらしく思える程、話しかけてくる。

「あいつに花野ちゃんをさらわれる前に、俺の彼女にしておきてぇんだ」

「あいつ?」

「年上の男…図書館で会ってるのを見たことがある。イオに似てるとか言いながらポーってなってた」

ムスッと吉坂は唇を結んだ。

「あ、それなら聞いたことある。その人、去年から5年くらいは海外で、帰ってこないらしいよ?」

すっごい残念そうに言ってたことは伏せとこ。

「え?そなの?」

数秒停止して私を見る。
そして、「何だ、そっかぁ」と身体を反らして上機嫌に動きだす。
単っ純っ。

あ、そや。
聞いてみよ。

「ねぇ吉坂、3人でシたことある?」

「何を?」

「セックス」

今度は吉坂が驚きの表情を見せた。

「あるわけねぇだろ。お前、あんの?」

「誘われてる。それで悩んでるの」

「俺は絶対に嫌。そういう話は柊に聞け。呼んでやろうか?」

「とりあえず、あんたに聞きたいの」

と、彼は首を傾けて難しい顔で考えだした。

「相手は彼氏?」

「彼氏とその友だち。その人の彼女と3人でシたことあるらしくて。それも私とつきあいだしてからの話」

と言うと、吉坂は「それ、浮気だろ?」と眉を寄せて顔を更に険しくした。

そうよね。
性欲が落ち着いたんだと思ってたけど、現実は逆やった。
他でシてたから、穏やかになったようにみえただけやった。

きっと友だちと3人でだけでなく、不特定多数とそれ以上に。
そういう人、やった……。

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