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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

「やっぱ別れようかな」

吉坂の感覚でも異常だって感じるみたいやし。

「お前が決めろ」

もうどうでもいいとばかりに吐き捨てる。

「吉坂の場合、見せあいっこもなし?」

取りかえっこなんて言ったらまた怒りだしそう。

「なし。花野ちゃんは俺だけのもの」

「花野とはつきあってないでしょ?」

もう自分の彼女な気でいるん?

「キスしてくれたもん」

「ほっぺなんでしょ?」

「キスはキス。も、俺はいいだろ?」

と、吉坂がさっとドアを開けると、入り口に本條が立っていた。

「よぉ、珍しい組み合わせだな」

こいつ、立ち聞いてたな?

「柊、こいつの相談にのってやって」

と私を親指で指す。

つかつかと入ってきた本條は、机に腰かけてにこやかに話しだす。

「心を切り離してみろよ。難しいことはほっぽって快楽だけ感じてればいい。その一方で本気になれる男を探したら?」

この男は3P肯定派?

「あんた、経験あんの?」

「今度、俺と乱行パーティ出る?」

ニッと笑ってとんでもないことを言いだす。

誰よ?こいつとつきあえば大切にしてもらえるとか言ったヤツは。

「でも俺、本命とは1対1じゃなきゃダメだな」

「自分は遊び回っておいて、本命には貞操を求めんの?」

「そう。俺ってワガママ」

そっか。
こんなナンパ師でも本命は自分だけなの。

「それ、本命は許してくれんの?」

「秘すれば花」

こいつは……っ!

「あんた最っ低!」

「お前ら、もうその話題は終わらせろよ。花野ちゃんが来る」

あんたもっ!
速水似男の驚異を拭い去ってやったの私やろぉ?

開けっぱなしのドアの元に立っていた吉坂が笑顔になり、外に向かって大きく手を振った。

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