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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

「花野ちゃん。これで俺の彼女になるね?」

"これで"って、どれでよ?
連絡先交換しただけじゃない。

「侑生君。あの、私…まだ伊織君の本を読めてないから。あと600冊くらい読みたいの」

スマホをフルフルしながら、花野は説明を始める。

は?600冊?何年かかるの?それ。
吉坂も大概やけど、花野も相当マイペースよね。

「何、その理由?…了承できねぇな。俺とつきあいながら読んだらいいよ」

花野とメールで繋がったらしく、吉坂はすっごく嬉しそうに口元をゆるます。

こいつに、やんわり断るなんて無理みたいよ?

「俺も勉強しなきゃだしさ、俺ん家でデートしよ?なら花野ちゃんは本読めるだろ?」

吉坂がそう言うと、本條がスマホを触る手を止めたので、声をかけてみる。

「吉坂って私らのいる前で、よく口説けるよね」

感心するくらい私たちの存在消えてない?

「俺ら、あいつの目にはカボチャに見えてんだよ」

「ああ、そんな感じ」

声楽の先生にもよく言われるわ。
客席は野菜畑と思えって。

カボチャの耳に、その声ははっきりと届く。

「俺以外に好きな男いるの?」

「……お兄ちゃんと伊織君も好き…」

花野、言うんだ……。
でもそれって家族でしょ?
速水ももう…。

と、横の尻軽男が手を挙げる。

「花野ちゃん、俺は?」

「柊先パイ追加」

花野の指が1、2、3、4、5と数えだす。

「話をややこしくすんなよ」と本條を睨んだ後。

「花野ちゃん!俺、言ったよね?イオのこと好きでも構わないって。イオの血の1/2は俺と同じだから、もう俺にしろよ」

!?

「アル、その理屈わかんねぇ」

同感。

半分同じだから何?って感じ。

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