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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

「今日も楽しかった。ありがとう、お兄ちゃん」

「俺も楽しかったよ。また、行こうな」

「うんっ」

駅からの帰り道、妹と手をつないで歩く。

遠くで救急車と消防車のサイレンが聞こえる。
あの音って何か不安になるよな…。
助からなかった記憶。
その場には居あわせなかったのに。

妹も同じことを考えたようで、俺の左腕にぎゅっとくっついてきた。
歩を止めて頭を撫で、「大丈夫だよ」とささやく。

と、前からコツコツとヒールを響かせて女がやって来た。
あれは、夏期講習で知りあったキナ…。
ああ、めんどくさそう……。

「へぇ、帆澄君、可愛いコ連れて。そういうご趣味なワケ?」

「いきなり何?」

こいつ、俺らの家の近くで張ってたのか?
せっかくの好日だったのに、邪魔しやがって。

「私の誘いを断って勉強でもしてるかと思えば、小学生といちゃいちゃデートですか?」

「…中学生だよ」

喧嘩口調でこられては、妹だと説明する気も失せる。

「変わんないわよ。ペッタンコじゃないの」

「お前、失礼なこと言うな」

「私とこのコとどっちが好きなの?」

「わかりきったこと聞くなよ。さ、行こ」

妹の肩を抱き、歩き始める。

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