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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

「いややわぁ。あんたら程じゃないで。けど、2人、つきあい始めっちゅー感じやな?」

「あ、わかりました?」

まあ、そんなにベタベタしてないところを見ればすぐにわかるよな。

「そらあんた、くっつこうかどうしょうか迷ってたしな。お兄ちゃん、頑張りや!この裏にホテルあるで?」

「まだそこまでは…」

声をひそめて言うけど、地が大きいから。
この会話、花野ちゃんに聞こえてるんじゃねぇか?

キスもまだなのに、いきなりホテルなんか誘ったらどうなるだろう。

花野ちゃんも俺のこと、ほしいとか思ってくれたりするんだろうか?

いそいそと封を開けて「きゃー、可愛い!いただきます」とかじりつく彼女を見つめる。

うん、なぁんにも考えてないと思う。
少なくとも今、彼女の頭の中は海の生き物とケーキのことだけだろう。

「お姉さん、これ美味しい!」

一口を飲み込んだ彼女がにこやかに答えるので、お姉さんのサービス精神が飛ぶ。

「お姉さんって、いいコやなぁ。ほら、あめちゃんもあげるわ」

俺たちが礼を言う横で、ちゃちゃが入りだす。

「どう見ても、おばあさんやろ?」

「あんたはクソジジイや!」

「何やと、このクソババア!」

と、俺のシャツの裾をくいっとつかんで彼女が心配そうに見やる。

「侑生君、私のせいかな…」

「ふっ、いいんじゃね?」

喧嘩のように見えるけど、この人たちにはこれが良好なコミュニケーション。
俺が花野ちゃんに"クソジジイ"なんて言われる日は来ないと願いたいけど。

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