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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

水族館の建物を出ると、もう陽は西に傾いて眩しくオレンジに光っていた。
今日一日、ずっとここにいたんだ……。

手を繋ぎ、最後に乗り込むアクアリウムサイドの観覧車。
俺の頭の中は、期待でひしめきあってる。

「いい日だったな。また、行こうな、水族館」

「うんっ、ありがとう。侑生君の行きたいとこは?」

「ん、俺は今のとこ特に。花野ちゃんとデートできることが嬉しいから」

あんなに瞳をキラキラさせてくれるのなら、毎月でも連れていってあげる。

そして、一番行きたいのは…。
キミと2人っきり、誰にも邪魔されずに過ごせる場所……。

なんて早すぎるよな。

「あっ、ありがとう。あの、いつも休日はどうしてるの?」

俺たちの乗ったゴンドラが次第に上昇し、夕陽に染まる街が見えてくる。

路上から見上げる中にいた、柊だ……。
俺は遠景を眺める花野ちゃんにわからないように、ヤツを見下ろしながら敬礼した。

「いやー、家にいる。柊たちと身体動かしてる」

「あ、格闘してるって言ってたね」

「うん、あと筋トレ。触ってみ?」

腹筋や上腕二頭筋は自慢できる。
胸だって以前より厚みが出たと思う。
柊には負けるけど。

「わぁ、侑生君。すごいんだねっ!カチカチのコンクリートみたい」

俺の腕を触って驚く彼女。
大袈裟だろ?
キミの元彼…伊織だって鍛えてたんだから。
キミが抱きついていた長兄和波さんだって、それに次兄は怪物だろ?

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