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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

図書館から帰って来たリィ兄はご機嫌だった。
弾む指先でアル犬のパネルを操作する。

「いいことあったの?」

「虹の花が架かってたんだ」

カラカラ晴天の本日に?
虹じゃなくて花?
またリィ兄お得意の独断暗喩法(メタファー)だろうと、俺は追求を断念した。

アル犬スピーカーからピアノ音が流れだす。
リィ兄は手首に付けたバンドを握り、囁くように歌いだした。
スピーカーからも微かな歌声が聞こえる。

誰だろ?…子ども?

で、ダイアナ・ロスなんだ。
リィ兄とアル犬が……。

歌詞の終わり、スピーカーから声がした。

"リルフィーの夢が叶いますように"

リルフィー?
小鳥みたいな名前だな。
いや、"フィー"と付くからには不死鳥か?

曲が終わると、目を閉じているリィ兄に父さんが話しかける。
仕事の指示を聞く時のリィ兄は驚く程、普段と表情が変わる。
対する人間の奥底まで見透すような集中力。

ああ、そういえば。

「100日って何?」

俺の質問に2人のデキスギ男は、「4ヶ月」と声をそろえた。
そんなん聞いてない!

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