テキストサイズ

僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

~羽賀桃湖side~

大学は夏休み。
鍵が空いていたので入室したけど、部員はいなくて。

「あんた、また来てんの」

そこにいたのは朴念仁。
片手で拳立てをしていた。

「んだよ。俺だって2回目だよ。なのにお前とまたかぶんのかよ」

私に向き直り、スクワットを始める。
何で音楽室で身体鍛えてんねん。

「えっ、マジで?ついてないっ!」

「それは俺の台詞だ」

んなの、

「早いモン勝ち。…花野と、どう?」

「決まってんだろ?なぁ、お前ってどこでキスとかする?」

何が決まってんのよ?

「そりゃお互いの家でしょ。暗くなったら道端とかもありだけど、最近は至るところに監視カメラついてるからね。今時青姦なんて流行んない」

吉坂は動作を止めて私を見た。

「……お前の会話って俺の範疇を軽く飛び越えるな」

「何よ、紳士ぶって。夏休み、花野とお泊まりするの?」

再びヤツは動き出す。
じっとしてられんのか?

「そりゃ無理だ。あそこの兄貴が許さない」

「ああ、あのハンサム2兄ね」

「今だって門限18時だし」

「早いけど仕方ないよ」

「ああ、そうだな。誰か来た……」

吉坂が手首を回しながらそう言うので、私もドアに意識を向けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ