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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

次に、さっきから吉坂をじっと見ていた男のコ:居松が口を開いた。

「花野さんとはいつからですか?」

黙って居松を見据える吉坂。
ジリジリと2人の間に火花が散った気がした。
そんな不穏な空気に耐えかねて、私が代わりに返事する。

「この4月よね?私たちの前で、この場所で強引に口説き落としたの」

「言わなくていいだろ?お前こそ、あの3P彼氏とどうなんだよ?」

「別れたわよ!それこそ言わなくていいでしょ?」

あいつの言う"愛してる"なんて、"したい"言い訳に過ぎないって気づいてん。
もし、それが間違いやったって、私はもうついていけへんから。

「へぇ、おめでとう。成長したな」

ニッと笑顔を突然見せる吉坂は、やはり魅力的で、会話内容なんて度外視の内記さんがうつむきがちにチラチラっと見ていた。

「あんたに成長したとか言われたくないわよ!ったく、速水と大して変わんないじゃない!」

その偉そげなとこ!

「俺はイオとは似てねぇよ」

似てるやん。
似んでもいいとこだけは。

「憎たらしいところがそっくりよ!」

よくないとはわかっているけど、私は吉坂めがけて真っ直ぐに指を伸ばした。
あー、何かスッとするわ。

「ははっ。お前、あの穏やかなイオとも合わなかったのか。救えねぇな」

そんな作法は全く気にしない吉坂は、デニムの膝を叩いて笑う。

「どういう意味だ、こら」

穏やかなイオ?
最初から私に食って掛かってきたあいつが?

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