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僕ら× 1st.

第25章 in WL --Shu,R

俺が晄志にラインを送信したところで、アルは映画を一時停止させ、俺を向いて専門的なことを言い出した。

「アリス症候群ってお前わかる?」

んなもん知るかぁ。
ピーターパン症候群の女のコ版か?

「錯覚でできるな……。舞台でも体感できれば楽しめそうだ。原因は、感染か……離人症は何となくわかるんだけどな」

「は?」

何の話か俺に説明する気ある?

「花野ちゃんも言ってたよ。狭い部屋でピアノを弾いてる時、背後から自分を見下ろすことがあるって」

幽体離脱か?

「…大丈夫なのか?」

「一時的なもんだし。お前、そんな体験ねぇの?」

「ないよ」

「大丈夫なのか?」

「ぅおいっ」

「気持ちの良いもんじゃねぇけど、全く知らねぇのは可哀想だな」

可哀想がられるとは思わなかったな。

「うん?カラスと書き物机は何故似てる?か……」

「は?」

突然話題が変わったぞ?

「いちいち書き物って指定するとこが。それもrevanか。専門用語は関係ねぇよな?となると、ずぼらに賢いヤツの机はインクで黒いとか……?こういう謎かけは伊織が最適だな」

ああ、伊織。
俺を助けてくれ…。

「テーブルじゃダメかな…パロディでいいんだし。あんまり不吉感だすのもなぁ」

1人ブツブツ言い出した男を取り残し、俺はイヤホンをつけて再生ボタンを押し目を閉じた。

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