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僕ら× 1st.

第4章 風速0.64kt --Ar

~吉坂侑生side~

その音色、その雫、
彼女を取りかこむすべてが
俺に瞬時に注がれる。

絶対的なインストール。
俺のなかの水晶振動子が動きだした
とでもいうかな。

景色が色づきだし
今まで俺が見ていたものは
モノトーンだったと気づいたんだ。

壊す気はない。
壊せるはずもない、だけど。

彼女に俺の気持ちを届けたい。

返事はいらない。
ただ、微笑みを返してくれれば。

俺の想いが
彼女を構成する熱を持ったひとかけらになれれば。

それだけ叶えられれば
いいと思った。

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