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僕ら× 1st.

第25章 in WL --Shu,R

幕がおりた舞台に、ハッターの帽子が残る。

すると、脇からやって来た司会者がオークション・ハンマーを鳴らす。

「71円から!」

セリが始まった。

さて、いくらまで上がるだろう……。

会場から多数の手があがり、それを見渡した司会者は、今日中に本部ボックスまで希望価格と氏名・連絡先を…と帽子セリの手順を伝えた。

台にあった帽子が、ひとまず棚にあげられる。
と、その帽子の下から、シンバルを持ったサルのオルゴールが現れた。

さて、俺もアルを迎えに行こうかな。
腰をあげ席を外れて歩きだすと、会場に響く音楽。
パイプオルガンのような。

動く気配に頭上を見ると、大きなシャンデリアが舞台目掛けてゆっくり降りてきていた。
…次の演目と繋がっていたようだ。

通路に出たところでアルとかち合った。
何やら慌てているが?

「柊!お前、花野ちゃん知らねぇか?」

「い?いねぇの?」

「"待ってて"って言ったのにいねぇ!着替えもまだで…鞄はあるんだ!連れ去られた!」

「見たヤツいるのか?」

あんな目立つ格好のまま?
晄志と居松はどこにいたんだ?
まあ、素人のヤツらをあてにしたって始まらないが。

「それがいねぇんだよ」

アルと会話しながら辺りのオレンジ色を探す。

「追跡ネックレスは?」

「この中」

と彼女の鞄を掲げて示す。
ああ、アリスに変身してたもんなぁ。

それとさ、アル…その声、何?

急ぎ現れたアルの声は、先程の低音に合致した。

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