テキストサイズ

僕ら× 1st.

第25章 in WL --Shu,R

はにかんだアリスは俺の左手首に注目する。

「いつもつけてらっしゃいますね」

「ああ、これは…」この下のブレスは…「彼女から貰ったんだ。俺のお守り」

「そうだったんですか。大切なんですね」

微笑みながらのアリスは、俺のリストバンドから目を離さない。

「花野ちゃんにも、そういうの、ある?」

今日は外しているけど、今年のサマフェスで……。

スポットライトの光を受けて、輝いていた。
シェル細工の伊織の花。
世界にたったひとつの。

「はい、ネックレスが。でも、今日はお芝居だったから外してて…。あの、それってね、図書カードの…お友だちから貰ったものなんですけど」

やや心細そうにアリスは俺を見る。

「ん?伊織君?」

「はい…。だけど彼がね、自分が作ったパーツが入ってるからつけてほしいって言ってくれたんです。お守りだって言って…」

そうだよ。
今は趣を変更した伊織からのお守り……。

発信器、他の物につけ変えることもできるだろうに、アル兄は……。

「器の大きな優しい彼氏だね」

元彼からのプレゼント、それを身につけていたって俺はキミを非難したりしないよ。
だって、それは俺からの…。

俺がそう言うと、アリスは控え目に笑みを見せる。

ありがとうね、花野。
だから、それは……。

「でも、それじゃ花野ちゃんもずっと後ろめたいだろ?……だからね…」

そう言うと、キミはわずかにうなずいた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ