テキストサイズ

僕ら× 1st.

第25章 in WL --Shu,R

「晄志と居松、よかったのか?彼女ゲットできるかもよ?」

高校生だし捕まっても多目にみてもらえるかもだし。

クルマを発車させながら俺は尋ねてみた。

「俺ら未成年だよ?それにあんな無法地帯、趣味じゃない。俺の好みはね、こんなところに入り浸らないコ」

晄志の反論に居松も「うんうん」と頷く。
そりゃお前の好みは知ってるけどさ?
それに俺らだって未成年、だった気がする…。

そんな中、居松が首をかしげた。

「依田先パイ、まだ花野さん?」

「"まだ"とは何だよ?別に狙っちゃいないし。お前こそ何だって宮石のサークルに入ってんだよ?」

だよな。
俺もそこ、疑問。

「大人になったらさ、音楽もできてた方がいいと思って。花野さんとこなら緩いし。俺、高2を飛びたいんだ。だから、ガッツリ運動部は無理」

「俺と同じ学年になるって?」

てことは花野ちゃんと同じ学年だな。

「そう。俺、医学部志望だからさ、よろしく」

「何で飛びたいんだ?」

「早く働いて稼ぎたいんだ。俺ん家、そんなに裕福じゃないし。自分で診察できたら診療費浮くし」

「成程」と晄志が言う。

「お前、自分の手術してそうだな」

「いや、俺もそこまでする精神力は…。コウ引き(助手の仕事)くらいなら」

「やるのかよ!?」

やっぱこいつも奇人だったか。

俺は、流れに沿って市街へとクルマを移動させながら促した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ