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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

「さてと。晩ごはん食い損ねたから、どっか行くか?」

アルと俺は、家には欠食を伝えてあるし。

「焼肉がいい!柊のおごりで!」

焼肉…。
そりゃさっきBBQ会場で見たけどさ、後ろの2人の手術話のおかげで俺の頭の中には生々しい内蔵が…。

だけど、アルの意見に「賛成」が2つ挙がり、懇意の店に向かうことになった。
懇意って言っても、帆澄兄に教えてもらった店だけど。

「大将よろしく」と暖簾をくぐり、座敷に腰を下ろす。

「柊兄。マジでいいの?ここ、高いんでしょ?」

晄志と居松がそわそわと室内を見回す。

「依田先パイ。あそこにいるの、女優のY.Tじゃ?」

「似てるだけじゃなくて?」

2人が喋ってる横で、俺は更に奥座敷が気になっていた。

あのローファー、学生だな。
なのに、サービス料の跳ね上がる奥座敷?

横の紳士靴とペアだな。
流石、よく手入れしてある…。

駐車場に数台あったクルマの1台、遠かったからよく見てなかったけど今思うとあれは……。

ピンっと閃いた俺は、アルに促す。

「花野ちゃんにライン入れてみろ?今から焼肉って」

アルは怪訝な顔をしながらも、喜んでスマホを操作した。

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