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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

「あ、そうだ!アル、あの声は一体何?」

あの一時的な低音。
3人が吸っていたスプレーのせいなんだろうけど、どんなトリックなんだ?

と、花野ちゃんが焼きに専念しだして、相手をしてもらえなくなったアルは説明を開始する。

「ドナルドダック効果の逆。クリプトンってゆう希(貴)ガス…あ、希ガスってのは、ネットスラング("気がする"の意)じゃなくてさ。安定を好む第18族元素で沸点が低いから……で、…だろ?」

あ…、もう脳が受付を拒否しだした。
ネットスラングって"w(笑)"とか?
いや、その前に、アヒルが何だって?

暫く俺は、意味不明な言葉群を飛ばすことにした。

「それだから……。で音速ってさ、温度や含まれる気体によって変わるんだ。ヘリウム吸うと声が高くなるだろ?あれって、ヘリウムが空気より軽いからなんだ。伝わる速度が速くなるから高くなる。だから、重いクリプトンは遅くなって低くなる。ルートkRT/Mで出せるんだけど…通常の音速340とすると、クリプトンは230くらい。ちなみにヘリウムは970くらい」

「何となくわかった」と、目を泳がせると、向いの晄志と目があった。

「柊兄。要するに"ヘリウムの逆"だよ」

そっか。
それでよくわかる。

数回うなずきを繰り返す俺に、アルはまだまだ教えてくれる。

「純クリプトンじゃなくて酸素も混じってるからさ、70%も下がったかなぁ?ピアノのキーなら3音も下がってなかったんじゃねぇか?でも、面白いだろ?えっと、計算するとさ…200%の変動が1オクターブとして…」

「ああ、面白い…。計算は来年でいい…」

アルに聞くんじゃなかった…orz。

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