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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

救急専用入り口から診察室に回される手前で、その運転手とはお別れだった。

廊下の壁に沿わせた長椅子に座って、俺たちは問診票を書く。

「受診の経緯ぃ?…"柊に同じ"って書いていいか?」

"書いていいか?"って、もう書いてるじゃねぇか!

「じゃ俺は、"居松に同じ"」

居松は真面目に記入してるみたいだし。
と、アル横の居松は手を止めて。

「"この2人に性病の相談を受けていたら、突然大きな音がして…"って書いときましょうか?」

「は?お前、マジに高校生か?」

何?その、告げ口の様なデマカセ。

「高校生に現病歴を頼る方がおかしいんです」

ここは、"だってお前、書くの速ぇし字もキレイだし"なんて褒めはしない。

「ああ、流石。サカリの高校男子らしい返答だな」

「お前、そんなこと冗談でも言うなよ。花野ちゃんに聞かれたら俺、弁解するにも…」

そうなると、お約束。
目の前のドアが開いて。

「あ、花野ちゃん」

少し間を置いて、「と、和波さん」と俺は続けた。

和波さんの腕には白いシートが貼られていた。

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