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僕ら× 1st.

第4章 風速0.64kt --Ar

学校からは、従弟でタメの柊といつも一緒に帰宅。
俺たちは、自宅と学校以外の場所では常に行動をともにしている。
いや、しなければならない。

俺が、グループトップの嫡男であるが故。
柊が、掃除屋(スイーパー)継承者であるが故。
……いわば、柊は俺の護衛役だ。

それでなくてもガキの頃から一緒につるんでいた俺と柊は、"ツー"と言えば"ガー"と言うふざけた友人関係にある。

学内で落ちあった柊に、帰りがてら先程のハプニングを話す。

「あのコの名前がわかったんだ!花野ちゃんっての!」

「へぇ、よかったな。話したんだ?」

先週金曜に彼女を見つけたことはすでに話していた。
俺も相当浮かれていたけど、柊は我がことのように喜び、俺の苦手な赤飯のオニギリと苦茶をコンビニで買ってくれた。

「そう。声も可愛かった」

「ほかには?」

「小さかったな」

ピアノの前で座っている姿しか知らなかったが、予想以上に背が低かった。
まだまだ成長途中だろうけど、きっと150cmないな。

「胸が?」

「アホか。身長だよ」

またこいつはエロいこと言いだすよな。

最寄り駅まで閑静な住宅街を抜けて少し行くと、ファストフード店やカラオケ店、ブックやゲームなどのショップがにぎやかに並ぶ。
俺たちは迂回せずに裏の近道を行く。
たむろする連中と目をあわさないようにしながら、早足で抜ける。

花野ちゃんもこの道を通るのだろうか…。
それはいささか問題あり。
今度、帰り道チェックしなきゃな。
怪しまれないように尾行するしかねぇな……。

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