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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

「さあて、みんなの前で恥かかされてさ。こぉんな雑音が聞こえる耳、要らねぇよなぁ?」

花野ちゃんパワーに口角上がりのアルは、その医者の胸ポケットにあったボールペンを取り、ヤツの耳をなぞりだす。

「や、やめてくださいっ」

この程度の脅しに本気で怖がってるか。
アルったら、もうニヤケっぱなしなんだけど。

「俺が素直に機械と向き合ってたらぁ、いきなり手錠はめられて男2人にひんむかれて押さえつけられたんだよ?どんだけ怖かったか教えてやろうか?しし」

あ、何かそのご機嫌モードが逆に怖いのかも。

「すみません。レントゲン室にまわせとしか聞いてなくて」

病院の駐車場の車内、目隠しのままの医者は縄を解かれても抵抗しなかった。

「さっきの異国男がさ、お前はあんま悪くないって言うから、危害は加えねぇよ。服だけ、ぜーんぶ脱げ。で、この名札は合ってんの?」

あーあ、連続で男の全裸かよ。
女医だとよかったんだけどなー。

俺は頷く医者の衣服を受け取って、ポケットにあった手帳類を調べだす。
大輔が服にも鞄にも盗聴器はなさそうだと、アルに知らせた。

パシャパシャと写真を撮られても抵抗しない医者に、アルも首を傾げて言う。

「お前、マジでちょい雇いなのな。趣味じゃねぇだろうけど、これ着て?それから現在までに至る経過を順に教えたまへ」

派手に大きな動物柄シャツをかぶせられた医者は、薄暗いワゴン車の中でポツポツと喋りだした。

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