
僕ら× 1st.
第26章 ディスポ --Shu,R
***
クルマに乗り込む前に花野とアル兄が言葉を交わす。
可愛いこと言うよね…花野…。
俺の復帰までは、確実にアル兄の元にいるんだよ?
だけど、たまには伊織を思い出してね?
助手席に座ったのは、和波兄。
「よろしくお願いします」と俺に挨拶する。
晄志、祐一朗、花野の順に着席を確認して、スライドドアを閉めた。
俺はアル兄たちに軽く手を振って病院敷地から一般道へとクルマを進める。
と、斜め後ろの席からの声に聴覚を奪われる。
「晄志君っておうちどこ?」
「常盤木。花野ちゃんの方が近いよ」
晄志君に花野ちゃん?
!名前で、呼びあってるの?
今更だな……。
高校に入って花野は医者志望に転向したそうだし、少しは近づいたってことかな。
俺もその輪に入りたかった、とズキズキした気持ちを押し潰していると、その澄んだ声は俺を指名する。
「運転手さん、お世話になります」
振り向くと、こちらを見る花野…。
可愛くて、大好きで、自然に笑顔が滲み出る。
目を合わせちゃいけないっ。
さっき世尾として会ったところだというのに、俺の胸に懐かしさが液体のように込み上げた。
俺は彼女に顔を向けつつも、視線は左手首のバンダナへ落とす。
いや、俺っ、運転中だった…。
慌てて視線を前方へと移す。
「怪我しませんでしたか?」
上ずって多少イントネーションが不自然だったけど、この異国顔だもの、違和感ないだろ。
「はい、私は。あの、怪我してる男のコのおうちに先にお願いできますか?クルマが揺れると、傷に響くかもしれないので」
「花野ちゃん。男のコはないだろ?」
それ、俺も言われたよ…。
諦めろ、晄志。
クルマに乗り込む前に花野とアル兄が言葉を交わす。
可愛いこと言うよね…花野…。
俺の復帰までは、確実にアル兄の元にいるんだよ?
だけど、たまには伊織を思い出してね?
助手席に座ったのは、和波兄。
「よろしくお願いします」と俺に挨拶する。
晄志、祐一朗、花野の順に着席を確認して、スライドドアを閉めた。
俺はアル兄たちに軽く手を振って病院敷地から一般道へとクルマを進める。
と、斜め後ろの席からの声に聴覚を奪われる。
「晄志君っておうちどこ?」
「常盤木。花野ちゃんの方が近いよ」
晄志君に花野ちゃん?
!名前で、呼びあってるの?
今更だな……。
高校に入って花野は医者志望に転向したそうだし、少しは近づいたってことかな。
俺もその輪に入りたかった、とズキズキした気持ちを押し潰していると、その澄んだ声は俺を指名する。
「運転手さん、お世話になります」
振り向くと、こちらを見る花野…。
可愛くて、大好きで、自然に笑顔が滲み出る。
目を合わせちゃいけないっ。
さっき世尾として会ったところだというのに、俺の胸に懐かしさが液体のように込み上げた。
俺は彼女に顔を向けつつも、視線は左手首のバンダナへ落とす。
いや、俺っ、運転中だった…。
慌てて視線を前方へと移す。
「怪我しませんでしたか?」
上ずって多少イントネーションが不自然だったけど、この異国顔だもの、違和感ないだろ。
「はい、私は。あの、怪我してる男のコのおうちに先にお願いできますか?クルマが揺れると、傷に響くかもしれないので」
「花野ちゃん。男のコはないだろ?」
それ、俺も言われたよ…。
諦めろ、晄志。
