テキストサイズ

僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

~本條柊side~

「俺らから離れるときっとお前、殺されるからここにいろ?」

そう医者に伝えて、あるアパートに入る。
逃げられてもその服には発信器がついてるし、大して痛くないというか…面倒なので逃げてほしい気もする。

部屋に入った俺たちは、あの技師1人を空のバスタブ内に座らせた。
蛇口から水を出すと、驚いた顔で辺りを見回す。
っても目隠ししてるから見えねぇけど。

「お、目が覚めたな」

ヤツは両手だけでなく両足も縛られて、芋虫状態。
そして元々が全裸。

仁王立ちアルが、かの低い声で話す。

「なぁ、レイプ犯ってさぁ、どんな処罰が望ましいと思う?……再犯確率が高ぇし、死刑にならねぇんなら去勢はしときたいよなぁ?」

脱衣場から覗く大輔は、事情が飲み込めずに「へ?」と驚きを見せる。

「俺はそんなつもりじゃ、未遂だし…」

「やられてたまるかよ!」

「その声、笑える」とアルを抑えた俺は、ゆっくりとヤツに説明する。

「ま、言いたいことはわかるよな?喋らなきゃ立ちションできなくなるってことだよ。都合よく、医者もいるし」

後ろに下がったアルは、バスチェアにかけて壁にもたれた。

「なぁ、襲ったヤツのこと、知ってんの?」

するとヤツは、口から血をひとすじ流しながら答える。
あれ?いつの間にか噛んだか?
ま、いいや。

「いえ、初対面。同胞とは聞いてたけど、どこの誰かなんて知らない。でも、すごく可愛くて艶かしくて。普段は合意しかしたことないけど、そういうプレイも好みって聞いてたし、こんなチャンスなんて二度とないから、是が非でも俺のモノにしようと…したのになぁ。滅法強くって…」

くっ、あぶね。
吹き出すとこだったよ。

喋れとは言ったけど、こいつ、この状況で世間話のように暢気に言うよ……。
勢いを弱めているとはいえ、バスタブ内の水は少しずつかさを増している。
そんなのは目を塞がれていてもわかるだろ?
プールに入ってるつもりか?

「まさか…」

と、大輔が心配顔で小指を立てて、被害者はアルの彼女かと俺に尋ねてくる。

「まさか。それなら未遂であろうと火炙りだよ」

冗談抜きで。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ