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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

「俺、今日の昼ごはんみたいなのがいい。気取った食通料理は特別な日に食べに行くだけにしてさ。こういう家庭的なほのぼのとしたのが好み。花野ちゃんが作ってくれるなら俺、タワシだって騙されて食うよ?」

「タワシ……?」

訂正に入る俺を、彼女はポカンと見つめる。
いや、マジには食わねぇけど…食わさないでくれよ?

「いや、俺、花野ちゃんの料理が一番だって言いたいだけで」

「タワシ料理……」

タワシのイメージが強すぎたようで。

ここは俺が誤解を解いてやろうと、柊が口を開く。

「花野ちゃん。気難しいアルには、友だちなんて俺ひとりしか居ねぇよ?他のヤツがアルを語っても本気にしちゃダメ」

…ヤツは真顔でひでぇことを言う。

「お前が一番ウソを教えるんだろ?花野ちゃん、こいつこそ信用ならねぇ。花野ちゃんが信じていいのは俺だけだよ?」

「そうそう。アルは品方向性で大変立派な模範的紳士です」

「それはホントだな」

俺たちのやり取りに、花野ちゃんもケラケラと笑いだした。

それはどういう笑いかな?
ま、いいけどね。

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