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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

***

花野ちゃんと和波さんに見送られて、男3人クルマの中。

「なぁ、お前ら。俺の花野ちゃんにあんま話しかけんなよ」

俺が苦情を言ったってのに、「わかった」とサラッと流した柊は違う話を始める。

「お前、花野ちゃんともうすぐ初めてのクリスマスだな」

わかったんならいいけどさ。

クリスマスか…。
信仰心なく、イベントに乗っかるだけの俺だけど、柊に言われるまでもなく彼女へのプレゼントを考え中。

彼女に一番喜ばれるものは何なんだろう?

「クリプレ、何がいいかなぁ?」

聞いても仕方のない2人に尋ねてみた。

「お前がほしいものは考えなくてもわかるんだけどな」

「バレバレですね」

そんな柊とイチの意見を無視して喋る。

「……今までイオに何を貰ったんだろ?」

あの2人なら、つきあう前からプレゼント交換してるだろしなぁ。
何たって生まれた時から一緒なんだから。

「そりゃ、あいつなら、すっげ調査しまくって厳選したものをあげてたんじゃね?」

だろうけどさ。
伊織より彼女に気に入ってもらえるものを渡したい。

上書きして上書きして……、伊織を好きだった彼女を好きになったくせに。

と、彼女のいないイチに、既にわかっていた結論を出される。

「本人に聞くのが一番ですよ?」

その夜は、いつかのサンタガールを夢に見た。
あのコスチュームをプレゼントしたら、引くだろうなぁ。

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