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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

あの後、のんびり帰って来た大輔がクルマを動かしてくれた。
ヤツからは煙草臭なんて全くしなくて、代わりに口の端に白いクリームをつけていた。

次の日は土曜で休日。
雪が少し散らつく中、花野ちゃんと買い物デート。

混みあう電車でガタンゴトンと密着したかったのに、あの爆発後…正確には12月に入って以来、クルマ移動を課せられている。

「あれはWだってわかってんだろ?だったらもうないだろ?」

と俺が言うと、柊は「今回のは良い教訓だ」と首を横に振る。

「Wは小柴が抑えたから大丈夫だろう。でも今後、花野ちゃんがお前の彼女だと知られない方がいい。だって、お前のいない時に花野ちゃんが拉致られて脅されたらどうする?」

そうだな。
今回はバレていなかったが、Wのように政略結婚を狙ってる連中には、俺に彼女がいては困るだろう。

「対立派はお前の顔と名前を知らねぇから今までは安心だと思っていたけど、味方には知られてるんだ。いいな?ゲイのお前が花野ちゃんに近づくのは、弟の元カノ調査のためだ」

"ゲイのお前"って…。

だけど柊の言うのは、もっともで。
純粋な忠義心を持ったヤツらばっかりじゃないのは、心しておかないと。

今日も運転手は柊。
近くまで行くヤツに乗せてもらう設定になってしまうが、この先もこんなデートが続いたら彼女だって訝しむよな。

何とかしたいよな。

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