テキストサイズ

僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

柊と別れて、さっきから女性用水着売り場。
表は寒々しい冬だというのに、ヤシの木がディスプレイされた常夏のこのスペースは、コートだけじゃなく長Tも脱ぎ捨てたくなる。

「どうしたの?侑生君、目にゴミ入ったの?」

目をパチパチとしていた俺を、彼女が見つめる。

「さっきから目がチカチカするんだ」

店内の照明が明るいせいもあるけれど。

「まぶし?」

「うん。いろんな水着の花野ちゃんを想像して」

プールデートが決まってから俺の脳内は、グラビアで見たポーズをとる様々な花野で溢れてきている。
ここに来て、その彼女たちの水着が店内の商品を見るたびに置き換わっていく。

俺ったら、すげぇ機能がついてんなぁと感心さえしながら答えた。

「……侑生君。変態って言うよ?」

「心配したのに」と彼女は頬を膨らます。

「これが花野ちゃんのサイズ?」

彼女の持つ水着のカップに触ろうとすると、「えっちっ」と手をパシッと払われた。

ふうん。
Cカップなんだ……。

高校生にしては、おっきい?普通?
やっぱ伊織の野郎と、あんなことやこんなことを……。

不意に浮かんだ彼女と伊織のぼやけたシーンを、水着姿の彼女だけに再度かき替えていると、指摘が入る。

「侑生君たら、いけない想像してない?」

「女のコを好きな男はみんなそう」

「えー?」

彼女は疑惑の眼差しで俺を見た。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ