テキストサイズ

僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

「お、着替えた?見せてみ?」

「待って……。あのっ、すみません。お姉さん、これどう思いますか?」

俺が覗こうと思ったのに、彼女は店員を呼ぶ。

んだよ?
俺に見せるのが先だろー?

フィッティングルームに店員がさっと入って、俺はまた待ちぼうけ。

少し拗ねていると、中から声が聞こえてきた。

「うーん。サイズアップした方がいいでしょうね。多少ぶかぶかでもパッドを入れればいいことですから。これからまた大きくなるかもしれないし…」

サイズアップだって?

「え?もう止まってほしいんですけど」

「彼氏さんは喜ぶんじゃないですか?D70の持ってきますね」

D70っておっぱいのサイズのこと?
それってどうなの?

緩む口元を引き締めて立つ俺の前を、店員が往復して彼女に同柄の水着を渡す。
程なくして、花野の声。

「侑生君……来て?」

狭い鏡部屋で、胸元を隠す彼女に"気をつけ"と号令をかける。

渋々両手を脇に添わせた彼女に、喉が唸る。
思った以上に、うっまそー……。

「もう、これ!これしかねぇ!」

この水着で、いろんなポーズを取らしてぇ。

「まだ青いの着てない!」

「ううん。こっちがいい!ファースト インプレッション!」

俺だけの彼女写真集を作りてぇ!

「サイズはどうですか?」

「はい、これでよさそうです。あっ、侑生君!勝手に撮らないで!」

花野が店員に気をとられたうちに、スマホシャッターをきりまくった。
ししし。

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