テキストサイズ

僕ら× 1st.

第28章 カーバンクル --Ar,Kn

侑生君に貰ったお守りのネックレス。
透明感と深みのある紅いザクロ石がとてもキレイ。

いくら彼が"伊織を好きでも"って言ってくれてたって。
これからは侑生君ひとりを一途に想いたい。

それでも私は、できればこのままの関係でいたいなんて思っていて。

だって裸になるんだよね?
見られて、触られて、きゃーっ、なんだよね?

初めてお家に行ったあの日。
私の苦しい先送り案を汲んでくれる彼。

お互いの水着姿を見たことないねって話になって。

「何なら今脱ぐけど?」なんて言って上半身の衣服をまくりあげる。

必死に止めると「ニシっ」と笑う。
いたずらな笑顔。
伊織君に似てる……あ、ダメダメ!
私ったら私ったら私ったら!

私の好きなのは侑生君でしょ!
こんなこと自分に言い聞かせるなんて、不自然!

侑生君、も少し待ってね。
私、侑生君を好きなの。
侑生君と一緒にいたいの。

「やっぱし私、帰るね」

彼のほっぺにキスをした後、立ち上がる。

「あ、花野ちゃんからチューされたの2度目だな。今度は唇に欲しいな」

何て可愛い侑生君。
いじらしい。

階段踊り場手前で呼び止めて、心を込めて彼の唇にキスをした。
今までの流されるキスじゃなくて、私の想いを込めたキス。

大好きな侑生君は唯一の彼氏。
大好きだった伊織君は双子のかたわれ。
特別大切なふたりはそれぞれ別の次元。

こんな形で私の中におさめてもいいよね?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ