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僕ら× 1st.

第28章 カーバンクル --Ar,Kn

プールでは気もそぞろな彼。

「プールサイドで食べるオニギリって、すっごく美味しいね!」

「ああ、うん。うまい」

笑顔を作りつつも、生返事。
視線はそこかしこ。
動きも何かぎこちない。

大人っぽい水着女性を目で追う。

あ、あのお姉さん、スタイルいいなぁ。
わ、あのペディキュアおしゃれ~。

私でもそう思う。

プニプニしたお腹の私は、まるきり子ども…。
せめてあと、5センチくらい身長が高かったらなぁ…。

侑生君、今日はちっとも私を見てくれないのね…。

「さっきから他の女のコばっかり見て!」

不安にかられて突き刺した私の自分勝手な言葉に、訴えてきた……。

彼に誘われた手は伝える。
…カタくて、動いた?
これって、これって……男のコのアレなの?

聞くに聞けなくて。
どうしていいかわからなくて。

挙動不審の理由が、心変わりじゃないっていうのが嬉しくて。
だけど目を合わせにくくて、彼の胸に顔を隠した。

私もね、真摯に接してくれる彼に応えたい。

だけど、やっぱりあり得ないほど恥ずかしい……。
みんな乗り越えていくんだよね……。

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