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僕ら× 1st.

第28章 カーバンクル --Ar,Kn

現場には大輔、消防士に化けたリースとイチがいた。
マスクをして一緒に燃えた現場を見ている。

もともと誰も住んでいない家。
なくなって困るものなんて、何も置いてはいなかった。
てか1階からの出火だけど、消火が早くって2階はほぼそのまま残っていて。

俺はヤツらにサイドテーブル端、ウカツにも単行本に挟むように置いていたコンドームを見られるはめになった。

その場にいたイチと、リースにまで睨まれる。

んだよ?
まだ1回も使ってないっての!!

パトカーたちが帰った後のブレーン部屋で、小柴が難しい顔をして話す。

「お前らの周り、最近物騒だな」

「依頼者に心当たりは?」

俺が尋ねると、目を細めてジロリと見てきた。

「ありすぎてわからん。お前の取り巻きも入れたら把握しきれん。最近こっぴどくフッた女、いない?」

「…いない、よな?」

柊に確認してみるけど、ヤツは口の片端を歪ませるだけで。
最近の俺は、丁重にお断りしていると思ってるんだけど。
それ程お誘いがあるわけでもないし…。

「映りました」と、あの家の監視カメラ映像を調べていた孝明が小柴を呼ぶので、一緒に後方まで見に行く。

モニターに表門周辺が映る。

何かの点検のような格好でやって来た誰かが、裏の窓を割り開けて火を投げ込んでいる。

こいつが俺の邪魔をした男…。
薄汚れたそいつは非常ベルに驚くも、慌てることなくゆっくりとカメラからはけていく。

その数分後に、大輔と小柴が駆けつけてきたのが映っていた。

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