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僕ら× 1st.

第28章 カーバンクル --Ar,Kn

~宮石花野side~

今日は、ふたりの誕生日。
毎年、プレゼントを交換したね。

おそろのリスのぬいぐるみは、どうしてるかな?
私のリスは、首に小花のネックレスをつけて。
チョコクッキーの入ったお皿を覗いてる。

伊織君に貰ったマグ。
今日はコーヒーを入れて。

一緒に17歳になったね。

今日ね、あなたのお兄さんとカフェに行ったの。
私たち、つきあってるんだよ?
驚きでしょ?

私、とても可愛いお洋服を貰ったの。
あの侑生君が、どんな顔して選んだのかなって気にならない?

帰りに立ち寄ったお店でね。
流れるBGMに、あの時のあなたの気持ちが入っている気がしたの。

"You are 16 going on 17
よく考えて
危なっかしいお嬢さん
男が狙ってくるよ
だから
しっかりものの僕が支えてあげるよ"

あなたには好きなコがいるのに、私を見かねて。
何も知らない私を心配してくれたんだね。
そして守ってくれたの。
自分の想いを犠牲にして……。

だったら、しっくりくる。
優しいあなたの行動が。

私ったら、あなたに彼女ができて、あなたに冷たく背を向けちゃって…。
あなたの言い分も聞かずに。
ごめんね。

私との新聞記事を乗り越えて、あなたのことを想ってくれた彼女だったのに。
祝福できなくて、ごめんね。

優しくしてくれて、ありがとう。

いつかあなたに、伝えられる日が来ますように。

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