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僕ら× 1st.

第28章 カーバンクル --Ar,Kn

「ねっ?鍵をかけるから」と俺は彼女に甘えてみる。

「嫌」と、口をすぼめた彼女は俺から逃げるけど、ホントは嫌じゃないよ…って言ってるように俺には思えた。

そして彼女は、自分の鞄にごそごそと手を入れた。
取り出したのは、小さめの包み。

うつむきがちに、俺の胸元に押しつける。

「侑生君。あの、これ。バレンタインチョコです…どうぞ」

「あ、貰えるんだ俺っ。初めてだなぁっ!ありがとう!」

受け取って早速開けようとした俺だけど、何か言いたげな彼女に動作を止める。

「うん。……あのっ」

「ん?」

「侑生君。…大好き」

何それ何それ何それっ?
そんなこと言われたら俺っ、襲ってしまいそうじゃねぇか!

いや、嬉しすぎるだろ。

一瞬ポカンと開いた俺の口は、目一杯ゆるむ。

「俺もっ、大大大好きだよっ!花野ちゃんっ」

彼女をきつく抱き締めた。

俺っ、何て可愛いコとつきあってんだろ。
世間にすっげ自慢してぇよ。

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