
僕ら× 1st.
第4章 風速0.64kt --Ar
「お取りこみ中失礼っ。ヨーダ、何か忘れちゃいませんか?」
花野ちゃんと再び作業に取りかかろうとしたところを連絡係に首根っこを捕まれ、マスターは看板撤去に消えていった。
残った彼女は、黙々と段ボールに色画用紙を貼りだした。
爪を短く切りそろえた細い指で、空気が入らないようシワを伸ばし伸ばし丁寧に作業する。
糊が乾くのを待つ間、段ボールをピアノに見立てて弾きだす。
もしかして、これはあの曲?
きっとそうだ。
と、授業終了後から何度目かの校内アナウンスが、生徒の帰宅を呼びかけている。
ひととおりの片付けをして帰ろうとする生徒と、作業を続ける生徒。
のんびりしているところを見ると、寮暮らしなのかな?
そう思っていたら、帰ろうとしていた女生徒が彼女に声をかけた。
「花ちゃん、まだ帰らないの?」
「お兄ちゃんが迎えに来てくれるの」
へぇ、兄貴がいるんだ。
「え?いいなぁ。マコちゃんが言ってたけど、花ちゃんのお兄ちゃんってセクシーでカッコいいんだよね?」
「セクシーかなぁ?」
「チェロ弾く姿が永久保存版とか、また紹介してね!…じゃあ、またね!」
女生徒は、一緒に帰るのであろう友だちと、彼女に手を振って退室した。
ふうん…兄貴がチェロで、妹がピアノか。
音楽一家なのかな?
花野ちゃんと再び作業に取りかかろうとしたところを連絡係に首根っこを捕まれ、マスターは看板撤去に消えていった。
残った彼女は、黙々と段ボールに色画用紙を貼りだした。
爪を短く切りそろえた細い指で、空気が入らないようシワを伸ばし伸ばし丁寧に作業する。
糊が乾くのを待つ間、段ボールをピアノに見立てて弾きだす。
もしかして、これはあの曲?
きっとそうだ。
と、授業終了後から何度目かの校内アナウンスが、生徒の帰宅を呼びかけている。
ひととおりの片付けをして帰ろうとする生徒と、作業を続ける生徒。
のんびりしているところを見ると、寮暮らしなのかな?
そう思っていたら、帰ろうとしていた女生徒が彼女に声をかけた。
「花ちゃん、まだ帰らないの?」
「お兄ちゃんが迎えに来てくれるの」
へぇ、兄貴がいるんだ。
「え?いいなぁ。マコちゃんが言ってたけど、花ちゃんのお兄ちゃんってセクシーでカッコいいんだよね?」
「セクシーかなぁ?」
「チェロ弾く姿が永久保存版とか、また紹介してね!…じゃあ、またね!」
女生徒は、一緒に帰るのであろう友だちと、彼女に手を振って退室した。
ふうん…兄貴がチェロで、妹がピアノか。
音楽一家なのかな?
