テキストサイズ

僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

「前に言ってた兄貴の好きなコ、処女じゃねぇの?」

「さぁ。そんな話しないから」

高校に入ってからのハニィを俺は、あまり知らないから。

「そりゃそうだよな」

「でも彼氏はいるから……」

リィの兄貴とくっついたなんて聞いて、も、何その番狂わせって感じ。

「そっか。よく耐えられるな、兄ぃ」

「お前だって初恋のコ、弟のなんだろ?」

いつも元気なお前が、あの日は可哀想なくらいひしゃげてて。

「そうだったけど、俺とつきあってくれることになった」

はいぃ?

「お前っ。それ、弟大丈夫か?ってか、処女?」

弟から取り上げたのか?
初恋の君だからって……。

お前、叫んでたじゃないか。
"別れんなよー!"って、"妹だから絶対離れねぇ!"って。

お前のあの言葉を、俺は力強く感じたんだ。
兄としての俺の道を、お前が示してくれたんだよ。

なのに、処女のまま奪ったのか?
あれって、随分と前だよな?
時間経過がよくわからないけど。

「うん、大丈夫。彼女が初めてだって言ってたもん。キスは違うみたいだったけど……」

うん、まあ、よかったな。

箱を開けると、ネクタイとタイピンが入っていた。
礼を述べると、「彼女と選んだ」と嬉しそうに笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ