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僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

洗面所からの引き返しに、廊下を歩くハニィを見つけて声をかける圭。

振り向く妹は、何かすっげ可愛いカッコして。
これからデートってまるわかり。

「花野ちゃん。おめかしして、お出掛け?」

「はい。圭さん、おはようございます。来られてたんですね。ゆっくりしてってくださいね」

と、にこやかな妹に。

「送ろうか?」

と、取り敢えず出方を窺う俺。

「お兄ちゃん、圭さんも来られてるのに。大丈夫、今日は彼のおうちの人が迎えに来てくれるの」

「おうちの人?どこに行くの?」

「えと、彼のおうちに。今日ね、彼の誕生日なの。だから、ケーキを。お兄ちゃんの分は冷蔵庫に入れておいたから、圭さんもよかったら食べてくださいね」

妹に了解の返事をする圭を遮って、俺は質問する。

「誕生日って、そんなカジュアルでいいのか?」

「うん。これ着て来てって。私の誕生日にいただいたの」

と、ポッと赤くなる妹。

「とても似合ってるよ…よかったな」

胸元の花飾りも、よく似合ってる…。

「行くね」と言う妹に「玄関まで送るよ」と圭を引き連れてついていく。

駐車場にいたのは俺とそう年の変わらない男で、まあまあ腕っぷしは強そう。
俺は、「妹を頼みます」と軽く挨拶した。

「じゃあ、早めに帰ってこいよ?」

座席に乗り込む妹に確認して手を振る。

「ありがとう。行ってきます」

本当は、"行くなよ"って言いたかった。
だって、彼氏の家族公認パーティーなんて。

俺の可愛いハニィが遠くに行ってしまう日が、近づいているようで。

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