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僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

「不毛だろ?」

「わかってる。けど、あいつ…俺のこと、好きって言ったくせに」

あの告白の時に、"俺は本気で好きだよ"と真剣に訴えればよかったのだろうか。

「妹ちゃんが?」

「ああ。好みの男、尋ねたら俺だって。血が繋がってなかったらよかったって。あいつにとっちゃ冗談だろうけどな」

「帆澄の妹ちゃんって小悪魔なんだな」

小悪魔?
どっちかっていうと天使だけど?

「悪魔ならさ、一緒に堕ちたいね」

"あいつらは兄妹"なんて後ろ指さされない、どこか遠い場所にふたりで連れ立って。
ひっそりと暮らすことができればいいのに。

祝福してくれるヤツが1人もいなくても、ふたりで指輪を交換して、結婚式を挙げられればいいのに。

「もう、上がってこい。妹ちゃんは、別の男を選んだんだ。そして、俺に何か飲み物くれ」

ああ、悪いな。
さっき水道水をがぶ飲みしてたから、いらないかと思ったんだよ。

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