テキストサイズ

僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

先日の2人の会話を思い出す。

「ね、侑生君。お誕生日は何がほしい?」

クリスマスに靴を買ってくれた彼女は、ニコニコ微笑む。
何がほしい?って聞かなくてもわかってんだろ?

「俺、すごくほしいもの、あるんだ。言っていいかな?」

にこっと頷く彼女に。

「俺………花野ちゃんがほしい」

今まで垣間見せていた自分の欲望を、もう一度の言葉にして打ち明けた。

「……えと」

「意味わかるよね?」

花野の頬に手を添え、瞳を覗き込む。
彼女の瞳は左右に泳ぐ。

伊織と別れて2年。
会わない日でも毎日キミを想って、もう俺は。

あの火事のおあずけで、もう俺は。
だって一度は決心してくれたんだろ?
俺に身を任せてもいいって。

クリスマス以降、人気のない場所ではキスの間に胸を触ってはいたけれど。

「…侑生君。私、、初めてなの」

「あ……うん」

本当に初めてだったの?

俺と柊の予感は正しかったのか。
……顔がほころぶ。

「怖く、ない?」

俺も初めてだと言わない方がいいんだろうか?
ここは経験者っぽくしてないと、不安にさせちまうんだろうか?
でも、他の女とシたなんて思われたくないけど。

「優しくするよ」

そっと抱き締める。

「ん」

「俺の誕生日、OKならワンピ着て来て?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ