テキストサイズ

僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

***

「改めまして、誕生日おめでとう!侑生君、20才だねっ!」

「ありがとう」

「ふふっ、どうぞ召し上がれ」

皿の上に一切れのケーキ。
カップからはコーヒーの香りがくゆる。

「いただきます」

フォークを取る俺をじっと見つめる彼女。

「んっ、美味しい!」と俺が笑って見せると、安心したように目を細める。

「やた!あのねっ、レシピはミルクチョコだったけど、ブラックチョコ使ったんだよ」

「ふうん、ブラックでも甘味があるんだ。丁度いいよ」

「でしょー」

「花野ちゃんにも。はい、あーんして?」

と、彼女の口に入れる。
彼女と俺と、交互に食べるとすぐにケーキはなくなった。

「おかわり、どう?」

空いた皿に伸びる彼女の手を、そっとつかむ。

「ん、美味しかった。でも、後で。俺そろそろ、花野ちゃんを食べたい」

彼女を引き寄せて、軽く口づけた。

「ケーキでごまかせると思った?」

彼女の瞳を覗くと、俺との間に両手を入れてくるけど。

「ま、待って?お片付けを…」

「もう待てねぇ」

その両手を脇に押しやり、再び口づける。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ