テキストサイズ

僕ら× 1st.

第29章 侑生BD --Hzm,Ar

そう言った俺を見つめて、彼女は横に首を振る。

「もうちょっと頑張る…。今日、侑生君に貰ってほしいの」

そりゃ、誕生日にほしいと言ったのは俺だけどっ。

「なっ、…何て可愛いこと言うの?俺っ、俺っ、幸せっ」

俺が座るかまたは寝転んで、その上に乗っかってもらった方がいいんだろうか?
花野の肩を捕まえて、下からぐっと突き上げた方が?

でもそんなの、すっげ痛そうだ……。

くっついた両膝を優しく解いて、俺は寝転ぶ花野にゆっくりと再び身体を入れる。

「……っ……んっ」

「花野ちゃん、我慢できそう?」

「だ…い……じょ……ぐ」

「もっといっきに入ったほうがいいのかな?」

「わか…んないっ」

額に汗を浮かべて涙目ながら、少し笑う花野。
そりゃそうだよな。
わかんねぇよな…。

「一度強めに突いてみるよ?いくよ?」

軽く息を吐いたあと、俺は押し込むけど。
やっぱり、やっぱり辛そうで。

「うん……ぅっ…」

苦し気な彼女を前にしても、俺の中では誰かが"入りたい、入りたい"って叫んでいて。
そいつを"バカ野郎"と押さえ込む。

「ちょっと休もっか」

花野の横にごろんと転がる。
すると、花野も俺の方にコロンと向きを変えて微笑んでくれる。

「侑生君、汗ぐっしょり」

と、俺の腕や胸をペタペタと触る。

「そりゃもう、緊張と興奮のルツボだし」

「ルツボってなあに?」

「え?…金属を溶かす容器というか、そういう熱いものが集まる所というか」

「何かとても暑そうね」

「だから汗だくなんだ」と言う俺の身体を、枕元のティッシュで拭いてくれた。

花野、花野、マジで処女なんだ…。
伊織のヤツ、手を出さないって誓いをマジでやり遂げたんだ…。

伊織。
俺もお前以上に花野のこと、大切にするからな。
こんな可愛いコ、守ってくれてありがとな。

今まで嫉妬でしかなかった彼女に潜む伊織に、俺は深く感謝した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ