後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第9章 詫びのしるし
「私が君にやられたことを、そのまま君に返す」
「……?」
「それでチャラ」
「なるほど」
私は葉川くんの術中にかかったりしない。
思惑どおりにはいかせない。
誘う彼の想像を越えて──これは、そう
「…いい?そこから動かないで」
反撃よ。
私は二人の間にかかげていたタブレットを鞄に戻して後部座席に置いた。
こちらに身をのり出していた葉川くんの胸を、掌で軽く押す。
トンっ...
「そこ。…前を向いて座っていて」
「……。わかりました」
助手席に大人しく座らせた後、私は彼の反応をうかがった。
葉川くんの声は落ち着いている。でも
次の一手を予測できない戸惑いが、少しだがその表情に表れていた。