後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第9章 詫びのしるし
葉川くんの言葉を聞いて、私はふと考える。
今まで彼が私にかけてきた一言一句……行動のひとつひとつは、全てが計算ずくとしか思えないものだった。
もし
もし……
それが計算ではなく本心で、彼の言うとおり欲求に従っているだけだとしたら、って。
“ そんなこと、今さら…… ”
でも私は結局、その仮定を否定せざるを得ない。
それはもちろん葉川くんの胡散臭さのせいでもあるし…私自身が原因でもある。
甘い可能性に期待を抱くための権利が私にはもとよりないらしい。
恋に恋する権限なんて私にないのだと──過去の七人の男たちが教えてくれたから。
「──…わかったわ」
だから私は、君の言葉を信じない。
むしろ、いつか幻想の恋に心がぐらつくその前に
私は君から、離れなければ。
「君を許すことにする。あの夜の非常識な行動も…水に流すわ」
「本当ですか…?」
「許せと言ったのはそっちでしょう?確かにいつまでもギスギスしていたら事務所に迷惑がかかりそうだし」
「その通りですが、でも──…」
「──ただし、条件がある」