後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第9章 詫びのしるし
すると、ふわりと頬に指があたった。
それは葉川くんの指で、頬から頭に移動すると髪を撫でてきた。
「…ァ……、先輩…」
「……」
「先輩──…と、キスがしたいです」
「駄目よ」
髪を撫でて、そして、ぎゅっと握ってくる。
痛くはないけれど髪の毛を引っ張られて、そうする彼の心理を想像すると征服感が増した。
太ももの前側の筋肉もピクピクと張りつめてきた。
おそらくもう限界のはずだ。
私はいったん舐めるのを止めて、彼に問い掛けた。
「…そろそろ降参すれば」
「…ハァ…、…クク」
「……?」
「貴女の口には……出せませんから、ね」
顔をあげると、いつの間にか彼は目を開けていた。
ほんのり汗もかいている。
「──…負けを認めます」
「……そう」
「鞄の中にゴムがあるので……それを、どうか」
「……」
「付けさせてください」
また髪をとかしてくる。
メガネをとって置いた彼は半開きの口でニコリと微笑して、顔を寄せてきた。