後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第10章 それだけの関係
仕事を理解されることは自分自身を理解されるということ。
感覚的には、まるで頭を撫でて労( ネギラ )われているような…
──まぁ実際に撫でられたら癪( シャク )だけれど。
──
「では、また来週にお伺いしますね」
「よろしくお願いします」
「ばいば~い!」
「うん、ばいばい」
打ち合わせを終え、桃をご馳走になり
息子さんを含む三人に見送られてマンションを出たのが午後一時。
二人きりに戻った駐車場では私から葉川くんに声をかけた。
説明が的確だったことを伝えると、少し驚いて眉を上げた後で、彼はフッと表情をゆるめた。
「お怒りが冷めたようでよかったです」
行きと変わって運転席に乗り込んだ葉川くん。
彼は内側から助手席のドアを開けて、外に立つ私に手を差し出した。