後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第10章 それだけの関係
そうか
それなら
“ 君にとっての私は──… ”
君と私の、この関係は
「──…」
「…先輩?どうかしましたか」
「いいえ、なんでも」
「車酔いしたとか」
「なんでも……ないわ」
君にとって私との関係は──それだけの関係、ということなのね。
よくわかった。
「…よくわかったわ」
「──…」
ほらね、やっぱりそうだったのよ。
さして意外でもなかったこの事実が、私の胸にストンとおさまった。
…いいえ、そんなに上手くおさまったとは言いづらい。
胸の中でカランと虚しい音がひとつ落ちる。
甘いジュースを一瞬で飲みほされ、グラスの中に残された氷が──溶けて形を崩し、ひとりでに動いて響かせる音とよく似ていた。